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Sub chapter.夜の瞳の色

Bysasa




ダナ=ミラ・カンタの書記


でも───私にだって引けない理由がある。
幸せだった生活が、誰かの不幸でなりなっていても。
後ろを向いたままじゃ、歩けないから。





話は数十年前に遡る。

彼女、ダナ=ミラカンタの産まれはスカイリム地方北部、ハーガルウィンガル地方、ソリチュード。
断崖絶壁に建てられた街で、帝国との貿易も盛ん。もうすぐ大型の風車が建造される予定だ。



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そんな彼女の産まれは「スリーピング・スキーヴァ」と呼ばれる宿屋。
女ながらに経営手腕と武芸に秀でており、宿屋のナイトショーでは自身が出演し盛り上げることもあった。

今思い返せば、この時が彼女が一番幸せだった時なのかも知れない。



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宿屋が賑わうと、すぐにその美貌が噂となり、
彼女はソリチュード西の対岸に聳えるヴォルキハル城の貴族の元へ嫁ぐ事になる。



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宿屋の娘ダナ「...本当に私でいいの?身分不相応よ」



オバイフォ伯爵「身分なんて関係ないさ。僕の命は君に捧げよう。ダナ=ミラカンタ」

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オバイフォ伯爵は優しく、正義感に溢れる男性だった。

城での暮らしは悪く無かったが、離れ島に存在するこの城は、外交がほとんど無く、
忙しい宿屋を切り盛りしていた彼女は、この城で暇を持て余していた。

そんなある日。



ダナ夫人「ヴォルキハル城のプリンセスの教育係⁉︎私が?」

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オバイフォ伯爵「ああ。このままじゃ君は城から逃げ出してしまいそうだからね。それとこの城で働く使用人達の指導も君に任せたい」

ダナ夫人「確かに毎日暇だとボヤいてはいたけど...」

オバイフォ伯爵「一筋縄では行かないよ?どの使用人も身寄りの無い物乞い出身だ。ハルコン興の慈悲で連れられた人々だけど、歴代の教育者は全て逃げ出した」

ダナ夫人「...」

オバイフォ伯爵「断るかい?僕の知ってる君なら投げ出すようなマネはしないハズだけど。それにキミがイヤイヤ出席している婦人会のお茶会も欠席する理由になる」

ダナ夫人「乗った!あなたには負けるわ。私の焚きつけ方を良く知ってる」

それから彼女の日常は一変した。
当初は反抗的だった使用人達も、熱心な教育姿勢と、面倒見の良い人柄に心を開くのに時間は掛からなかった。

退屈だった夫人会のお茶会にも顔を出さなくても良くなったのが一番の収穫だったとか。

ダナ夫人「...10分遅刻よセラーナ」



セラーナ嬢「相変わらず厳しいですわね、ダナ先生」

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ダナ夫人「あなたは少しプリンセスという自覚が足りないのよ」

セラーナ嬢「今日は天気がとても良いですわ。太陽に感謝ですわね。と、いう事で本日もおいしいお茶とスイートロールを持参しましたわ」

ダナ夫人「まったくあなたという子は...まあいいわ。まずはティータイムにしましょうか」

ポン!と胸の前で微笑みながら両手を叩くセラーナ。ダナは呆れ顔で笑った。

セラーナの両親、領主である資質剛健なハルコン興、そして控えめで口数の少ない娘想いなでヴァレリカ。
だが2人の夫婦関係はこの時点で既に冷え切っていた。

孤独だったセラーナに対し、亡き妹の影を重ね愛情を注ぐダナ。立場を越え、二人はやがて実の姉妹のようになって行った。



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地形や物資にも恵まれ、平穏だったヴォルキハル城。だが領民が増えるにつれ、その重圧に領主のハルコンは苦しんでいた。
彼は元々精神が強靭な人間では無かったからだ。

そしてある日を境にヴォルキハル城に見慣れぬローブを纏った人物達が居つく様になる。
ハルコン卿が参謀として城内に招き入れたのは、アルドメリ自治領の連合政府ことサルモール。

武力行使、情報操作、暗殺など彼らの名声は陰湿なものが多かった。



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特にハルコンが信頼をおいたサルモールのモルテノアと呼ばれる人物。
城の誰もが一目置くほど博識で、心理学に長けており、ハルコン興はすっかり心を許していた。

サルモールのモルテノア「ハルコン興、領民を守らなければならない重圧で押し潰されそうなのでしょう」

ハルコン卿「そうだ。私もやがて老い、天命を迎える。そうしたら誰が領民達を守るというのか」



サルモールのモルテノア「なら王よ、あなたが永遠の命を手に入れればいい。老いる事のない強靭な肉体、何人たりにも負けない屈強な精神力を手に入にすることができる」

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ハルコン卿「そんなことが可能なのか?その言葉嘘ではあるまいな」

サルモールのモルテノア「無論。サルモールは陰湿だが嘘は付かない」

ヒトの心は弱く脆い。心労も極限に達していたハルコン卿に、現実的とは思えない夢物語。
モルテノアにすっかりのめり込んだハルコン。それが最善の選択と思い込んだのは無理もないだろう。

───そしてすぐにヴォルキハル城崩壊への歩みが始まった───



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モルテノアが提示した取引内容は、領民1000人の“新鮮な魂”
それをデイドラの王、モラグ=バルに捧げれば、吸血鬼の王となり永遠の命を与えるという。

──王はご乱心だ。玉座の間に飾られた遺体の様になりたくなければ、早く城から脱走しなければ──

そんな声が聞こえ始めた頃にはすでに手遅れ。
最初は一人、二人と続く領民の失踪。それは立て続けに起こった。



メイドのアスワン「ダナ姉さま...私怖いわ。次は自分の番かも知れません!」

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すっかりダナに懐いたメイドの娘たちも、不安を口にする。
無理もないだろう。ここ半月の失踪者は3桁をゆうに超えていた。

月夜の下、上手く隠れながら領民を手にかけていたハルコン卿だったが、やがて失踪者の目撃談も噂になる。



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ハルコン卿「なに?領民が不安の声を漏らしているだと?」

ヴァレリカ夫人「ええ、ハルコン卿は憑き物に当てられたとか。このままでは民の信用を失います」

ハルコン卿「ほおっておけ。私がどれほど民を思っているかなぜ分からない」



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ヴァレリカ夫人「もう、あなたには私の声は届かないのね」



ヴァレリカが呟いたその言葉、ハッキリと聴き取ったハルコンだったが、返事はしなかった。ヴァレリカは静かに俯いた。
王女のセラーナでさえ、監禁状態となり、供物開始の日から1年が過ぎた。もはや城の住人は半分以上が姿を消した。

ダナ夫人「それで、進捗はどう?」

使用人のアサン「おおよそ予想通りだ。ハルコン様は地下へ領民を連れて行っている。そこで処刑するのだろう」

元闇の一党の処刑人だったアサンは、ダナの手足として調査暗躍していた。
無論、ハルコンに反旗を翻せば、自身も含め、全員が処刑されかねない。ダナは決断を迫られていた。

使用人のアサン「そんなに考える問題ではないだろうダナ。このままではいずれ確実に私たちも殺されるだろう。そなたが腹を括るなら我々は支持しよう」

ダナ夫人「...私は...誰ッツ!?」

セラーナ嬢「話は聞かせてもらいましてよ」

ダナ夫人「...セラーナ。アサン、付けられたわけではないでしょう?」

使用人のアサン「お嬢様だって聞く権利はある。それになにもかもアンタが一人で背負う必要はない」

セラーナ嬢「私が城の地下へ向かいます」

ダナ夫人「ダメよ。許可できない。城の地下は不死者やゴーストで埋め尽くされているの」

セラーナ嬢「あら?私が死霊術が得意なのはご存じでしょう?」



ダナ夫人「分かってセラーナ、あなたが心配なの」

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セラーナ嬢「分かっていますわ。それでもわたくしはお父様の娘。現在の城下の混乱が父のせいである以上、わたくしにも責任があります」

ダナ夫人「それなら私が...」

セラーナ嬢「いいえ、あなたはわたくしの護衛ですわ、ダナ。お願いです。あなた達の力を貸してください」

使用人のアサン「ダナ、心配なのは分かるが、お嬢様はおまえの妹じゃない」

ダナ夫人「...そうね。分かったわ。正し装備は整えて行きましょう。なにが待っているか分からないからね」



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セラーナ嬢「暗いですわね。地下は気が滅入りますわ。ねぇダナ、スカイリムの空は美しいのかしら?」

ダナ夫人「ええ、空気が澄んでいてとても美しいのよ。この騒動が収まったら、皆でピクニックにでも行きましょう。きっと楽しいわ」

セラーナ嬢「ええ、必ず。約束を破ったらあなたを死霊兵にしますわ」

ダナ夫人「あなたの冗談はいつも笑えないのよ。フフッツ...そろそろね」

長い階段が終わると遠くから女の悲鳴らしきものが聞こえてきた。駆けだすセラーナ。
そしてそこには優しかったはず父の姿があった。



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セラーナ嬢「そんな...!!お父様!何をなさっているの!」

ハルコン卿「...セラーナ!なぜここに...?まぁいい、説明の手間が省けた。私は遂に老いる事のない身体を手に入れるのだ」

セラーナ嬢「その代償が民の命ですの⁉︎もうお止めになってください!」

ハルコン卿「何をいう。私は何ひとつ変わっていない。これも全て残った領民のため。何を犠牲にしても構わん。例え実の娘のお前でもだ。さぁ、こっちへ来い、セラーナ」

ダナ夫人「下がって...!普通じゃないわ」

ハルコン卿「おまえの入れ知恵かダナ夫人。ヴァレリカといい頭のいい女を手元に置いておいたのは失敗だったな。大人くしてればいいことを」

ダナ夫人「お褒めにあずかって光栄だわ。あなたを拘束しますハルコン卿」

ハルコン卿「随分強気だが、この騒動、全ての出来事が私一人でやったと思ってるのか?」

使用人アルヴォンス「に...逃げ...!!」



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ドサッツドサッと倒れていく使用人たち。そこには見慣れない二つの影。
武術に長けた使用人たちがこうも容易く倒されるということはよほどの手練れだろう。

ハルコン卿「遅いぞマレク、ブラッド・サッカー」

ダナ夫人「...その目...吸...血鬼?」

吸血鬼ブラッド・サッカー「ご名答です~」

吸血鬼マレク「ようやくこのくだらない仕事も終わりだ」



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ダナ夫人「あなたたちいったい何を企んで...!?」

ハルコン卿「おまえが気にすることはないダナ夫人。なぜならおまえはここで死ぬからだ」

ズンッツ!!

ハルコンはそう言うと、一瞬でダナの背後に周り、腹部を貫いた。既に人の動きではなかった。

ダナ夫人「グ...グハッ...!!」

セラーナ嬢「い、いやッツ!!やめてくださいお父様!!」

ハルコン卿「これも全て民の為なのだ。分かるだろうセラーナ」

ポタッ、ポタッっとダナの血が流れると、ビジシシッ...と音を立て、静かに大地が揺れる。

セラーナ嬢「じ、地震⁉︎」

大きな振動が響くと、突然空間が歪み、見慣れぬ“門‘’らしきものが現れた。
次元と次元をつなぐ扉「オブリビオンゲート」

ハルコン卿「さぁ、おまえも来るのだ我が娘よ。これ以上苦しむ友をみたくはなかろう」



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薄れ行く意識の中、ハルコンはセラーナの手を引き、次元の向こうへと姿を消した。

ダナ夫人「ダ....メよセラ、ーナ...行っては、ダメ...行か...ない...で」

こうして、ダナ=ミラ・カンタの不運な人生は幕を下ろ...すワケではない。

吸血鬼ブラッド・サッカー「もしも~し?生きてますか~?」

ダナ夫人「...トドメを刺しに来たの?」



吸血鬼マレク「我々はモラグ・バル様の遣いだが、ハルコンの手下ではない。お前がここで死のうが、抗おうがどうでもよいのだ」

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ダナ夫人「ならほおっておいて、あの子を助けなきゃ...なんの罪もないのよ」

吸血鬼ブラッド・サッカー「死にますよ。そのままじゃ確実に、ねぇマレク」

吸血鬼マレク「おまえに選択を与えよう。そのまま死ぬか、我々と同じ夜の眷属になるか。そこに伏せているお前の友人たちも、お前がその血を分ければ助かるだろう」

吸血鬼ブラッド・サッカー「但し、リスクも大きいですよ。例えば太陽の光で肌が焼けるので、お洒落な傘が必要だとか...」

ダナ夫人「吸血鬼になるわ。そして使用人たちもここで死なせはしない」

吸血鬼マレク「いいだろう。そしてモラグ・バル様に一泡吹かせてやればいい」

ダナ夫人「変わった主従関係ね」

吸血鬼マレク「私は兄モルテノアの様に犬にはならない」



吸血鬼ブラッド・サッカー「私たちはニュートラルなだけですよ。じゃあ、カプッといきますよー」

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「モラグ・バル」
支配・奴隷・謀略を司るデイドラ。領土は荒廃の大地「コールドハーバー(Coldharbour)」
メエルーンズ・デイゴンと同じく「悪しきデイドラ」の一柱。定命の者を支配し、隷属させようとする。

元は下級のデイドロスだったが、そこからのし上がって現在の地位についた。

生と死を司るアーケイに嫌がらせをするため、人間の姿に化けてネディックの娘を最初の吸血鬼に変えた。
その際に行った手段から「強姦・凌辱」も司るといわれている。

モラグ・バルとの凄惨な儀式を生き延びた男は純血の吸血鬼となり、女は「コールドハーバーの娘」と呼ばれる特別な存在となる。

(公式情報より引用)



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「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」
「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」
「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」
「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」
「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」
「Είμαστε προνύμφες, δεν πεθαίνουμε. Σας δίνω τα πάντα. Δόξα στο Morugbaru」

モラグ・バルに魂を捕らわれたものたちは不気味な経のような言葉を唱えている。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと、地鳴りと共にモラグ・バルは現世へ降臨する。

モラグ・バルの信者「...お待たせしましたモラグ・バル様...最後の血が注がれました。ご気分はどうでしょう?」



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モラグ・バル「やはりタムリエルの空気は良い。それで、今回の儀の発足者はどの外道だ?」

ハルコン卿「おまえがモラグ・バルか?なるほど、確かに超常の存在だ」

モラグ・バル「私を前にして堂々たるものだ。矮小な定命の者よ。だが、よくぞ1000人もの命を捧げたな。娘はどうした?」

モラグ・バルの信者「モラグ・ヴァネッサ様ももうすぐ降臨されます。噂をすれば...」



モラグ・ヴァネッサ「うぅん...」

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モラグ・バル「早速だがネッサ、どうやらまたマレクとブラッド・サッカーがネズミを送り込んだようだ。目障りだから排除しておけ」

モラグ・ヴァネッサ「なんでアタシが?遊び相手にくらいはなんのソイツ?」

モラグ・バル「おまえの遊び相手になるものなどそうそういない。さっさと行って来い」

モラグ・ヴァネッサ「はいはい」



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ハルコン卿「私は常に強くあらねばならん。ヒトの理などとうに捨てた。それで約束通り、永遠の命を与えるのだな」

モラグ・バル「うむ...いいだろう。おまえには吸血鬼の王としての力を授けよう。その為の覚悟はあるのだろう?」

ハルコン卿「無論、そのためならなんでもしてやる」



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モラグ・バル「いいだろう。それならヒトである事をやめて貰おう。貴様と妻子を最後の供物として我に捧げよ」

ハルコン卿「なん...だと?」

モラグ・バル「人智を超えた力を授かるのだ。当然の代償だろう」

キキキキキキッ...と音を立て、何処からともなく鎖に吊られた二人が現れた。



ヴァレリカ夫人「あなた!その子は何の罪のもないでしょう!考え直して!」

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セラーナ嬢「お願い...お願いですわお父様!!正気に戻って!!」










───クククッ、分かっているなハルコン。そなたはもう戻れないことをしたのだ。共にアビスの底に堕ちようぞ───










セラーナ嬢「助けて...誰か...」

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ハルコン卿「...げよう」







セラーナの後を追って、コールドハーバーに着いたダナは新たに授かった吸血鬼の力で、
異形の化け物達を押し除けながら進んでいた。

そんな中、モラグバルの娘、ヴァネッサが立ちはだかる。

モラグ・ヴァネッサ「ようネズミちゃん。駆除しに来たぜ」

ダナ夫人「そこをどきなさい!あなたに構ってる時間はないの」



モラグ・ヴァネッサ「...つれねぇなあ。せっかくこっち側に来れたんだ。アタシと遊んでくれよ」

ジャキィン‼︎

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ヴァレリカが片手を広げると、身の丈程ある、血の色をした禍々しい槍が形成された。

ダナ夫人「強いわね。それも桁違いに。立ってるだけでビリビリするわ」

モラグ・ヴァネッサ「単身コールド・ハーバーに乗り込んで来ただけあるじゃねぇか。手加減してやるから楽しませてくれよ」



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ガギィイィィィンッ‼︎



その一撃はまるで竜巻の様な一突き。人間だった頃のダナだったら確実に吹き飛ばされていただろう。
だが、吸血鬼となった彼女の力はヒトの数倍。なんとかこれを凌ぐ事ができた。

ダナ夫人「ググッ...戦える。じゃなきゃわざわざ吸血鬼になんてならないわ‼︎」

ヴァネッサを押し除け、切り込むダナ。
元から戦いのセンスが抜群だった彼女は、夜の眷属の力を得て、より研ぎ澄まされたものとなっていた。



モラグ・ヴァネッサ「ほう、やるじゃねぇか。じゃあ次はこのオモチャを使ってみようかな」

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ニュルニュルと音を立て蠢く触手へ姿を変え、ヴァネッサの鎧の形状が更に禍禍しいものに変わっていく。

モラグ・ヴァネッサ「カッコいいだろ?硬化と軟化を繰り返す触手みたいなもんだ。自在に操れるんだぜ」

モラグ・ヴァネッサの能力は0からの他次元物質形成。
その幅に際限は無く、例えば宿屋に刺さったデイゴンの大斧でも作り出すことができる。



ダナ夫人「いいえ、趣味が悪いわ。それにこんなところで足踏みなんてしてられないのよ‼︎」

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モラグ・ヴァネッサ 「いい根性だ。極力手加減してやるから死ぬなよ~。どっちにせよ、おまえに待ってるのは地獄だからな」

ドンッツッッッツ!!!!!!!!

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それは一瞬の出来事だった。ダナ本人は何が起きたかですら分からなかっただろう。
ヴァネッサの放った一撃によって、ダナの体は遥か上空へと弾き飛ばされた。

吸血鬼のダナ「あんな化け物...次元が違うわ。わたしにもっと力があれば...」





半刻後、ズルズルと引きづられる音でダナは目を覚ました。地面に叩き付けられたと同時に気絶してしまったらしい。
吸血鬼の力を得たダナだったが、圧倒的な眷属の前には手も足も出なかった。



モラグ・ヴァネッサ「ホラよ。暇つぶしにもならなかったぞ」

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ドサッ...とモラグ・バルの前に運ばれたダナ。
後にセラーナはこう話す「それは目を背けたくなる儀式」だったと。

モラグ・バル「...フム、せっかく現世に出てこれたのだ。少し楽しむ分には構わんだろう」

モラグ・バルは薄ら笑いを浮かべると、ダナの身体が硬直し身動きが取れなくなった。



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眼前にはハルコン卿、ヴァレリカ夫人、セラーナ。この様子では生きているのか死んでいるか分からない。
衣類を全て剥がれ、これから自分がどんな目に合うか想像しただけで嗚咽がもれそうだった。



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セラーナ嬢「ダ・・・ダナ・・・に・・・逃げ・・・」



その儀式は三日三晩、モラグ・バルが鎮まるまで繰り返された。
水分は枯れ果て、激しい痛みを帯び、やがてダナは局部の感覚を失った。

ダナ夫人「ごめんなさい、セラーナ・・・ごめんなさい、あなた。私は何もできなかった」



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モラグ・バルの娘ヴァネッサ「なに、気にすることはねえさ。定命の者にしちゃよくやった方だぜ。安心しな、殺しはしない。それ以上の地獄を味あうからな」

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ここから先の彼女の記憶は酷く曖昧だった。
地下で倒れていた3人を使用人たちが発見したのは1週間後の夜。

この日を境にヴォルキハル城からすべての明かりが消えた。

体力的、精神的に限界を迎えた彼女の頭髪の色素は、あの傭兵と同じくすっかり栄養を失い、
美しかった黒色の髪も見る影も無くなった。



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───数日後───

ダナ夫人「...ごめんなさい。あなた達まで巻き込んでしまった。一生かけて償うわ」

メイドのウピオル「なにを言うのダナねえさま。あなたに血を分けて貰わなければ私たちはあそこで死んでいたのよ。誰一人ダナ姉さまを恨んではいないわ」

執事のアサン「そうだ。私たちはあんたが血を分けた家族だ。これからは共に生きよう」

メイドのアスピル「吸血症なんですよね?私たち。まだ全然自覚は無いわ」

執事のアルヴォンス「このままなにも変わらないのかも知れん。来る日が来ても地下に死体が山ほどある」

ダナ夫人「フフッツ...笑えない冗談ね」

この親しき面々の命が無事だっただけで良かった。ダナは本気でそう思っていた。

数日後、コールドハーバーとなったセラーナをハルコン卿の企みから隔離する為、
ヴァレリカ夫人とダナは結託して、ディムホロウ墓地へ向かった。

セラーナ嬢「ホントにこれでお別れなのですか?お母様、ダナ」

吸血鬼のダナ「これが最善よ。今やハルコン卿には誰も歯向かえない。必ずあなたを利用する」

ヴァレリカ夫人「吸血鬼に寿命は無い。気が遠くなる時間だけど、必ずまた会えるわ」

セラーナ嬢「分かりましたわ。今度は私たちの新しい城を作りましょう。そこで未来永劫穏やかに暮らしましょう」

吸血鬼のダナ「あなたが目を覚ますまで、私は必ず吸血鬼にとって安楽の場所を作るから」

セラーナ嬢「ええ、ありがとうお母様、ありがとうダナ。愛してるわ。おやすみなさい」








無事にセラーナの隔離に成功したダナ。
だが脳の奥にしまい込まれた悍ましい記憶は、時折鮮明によみがえる。



ダナ夫人「いヤッツ!!イァアァアアアアッツ!!」

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オバイフォ伯爵「...落ち着くんだダナ。またあの時の夢を?」

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気づいていたが、気づかないフリをしていた。認めたくなかった。もはや自分は人間ではないのかも知れないと。
睡眠を重ねるほど、血の流れが速くなっていく感覚を覚える。

ダナ夫人「え...えぇ、ごめんなさいあなた。それに...」



なんだが、ひどく、のどが、かわくの

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Comments 2

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もきゅもきゅ  

おそくなりまっした!

こちらにもコメントしに参りました~!

いいないいな~、オブリのセラーナさん新鮮でいいなぁ(o゚▽゚)
ハルコン卿もセラーナもヴァレリカも、キャラとして作ったんですよね。スカイリムの面影があってすごい。
そしてサルモールお前こんなところにもw
sasaビリオンの世界の幅が広がるサイドストーリー、堪能させて頂きましたヾ(๑╹◡╹)ノ"

ああ言う含みを残した最後の終わり方が好きです。

2020/11/29 (Sun) 17:18 | EDIT | REPLY |   
sasa

sasa  

To もきゅもきゅさん

こちらにもコメント嬉しいっス!!(*^^)v

もはやSkyrimでやれって感じですよねwこれはskyrimやってた頃、
ヴォルキハル城は頃こんな感じで堕ちていったのかな~といった妄想を形にしちゃいました。

案の定、書いているうちにダナさん(吸血鬼側)に情が移ってしまいつらたんです。
彼女たちも被害者ですよね。。

ダナさんの戦いもいよいよ終幕です。年内目標にがんばります('ω')ノ

2020/11/30 (Mon) 22:56 | EDIT | REPLY |   

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