Chapter22.海賊編①財宝泥棒と不死の海賊団
エルフの女性「いいわねチャンタマ、合図を出したら侵入よ、アンタが」

エルフのチャンタマ「えぇ⁉︎一緒に行くんじゃないんですか?今なら海賊船は間抜けの殻で財宝頂き放題って言ってたじゃないですか!!」
エルフのシャロン「何を言ってるの?万が一見張りがいたらどうすんのよ。か弱い私が捕まったら何をされるか分からないわ!」
深夜に蠢く、二つの小さな影。そう、泥棒だ。

エルフのチャンタマ「いや、そんな事言う人はそもそもか弱くなんか...」
エルフのシャロン「分かってるわね。ここで一攫千金を掻っ攫って家賃を払わないと、河川敷を追い出されるわ」
エルフのチャンタマ「そいつは困りますね...」
エルフのシャロンとチャンタマ。今回の話ではゾハル達と共にスポットの当たる2人。彼らは海賊達が奴隷港への襲撃の際にも抜けになった海賊船の財宝を狙っていた。
しかし、金銀財宝の詰まった海賊船に見張りを付けずに放置する訳もなく、彼女達の存在はすぐに見つかる事になった。
見張の船員「あら、可愛い盗人さんね。でも見つけちゃった以上はねぇ...」

同時刻レヤウィン・ファイブクロウロッジ。
ここでは四肢を欠損しながらも、大暴れしたチュルパン達が祝杯を上げていた。
BWCのヤー=モーリー「...ハア...やっぱり生きてたのか」
BWCのチュルパン「あア!?もっと喜んだらどうだ?」

BWCのキビダンゴ「へへへ...この人はしぶとさとしつこさだけが取り柄。死ぬわけがない。へへ...」
BWCのチュルパン「どうやらてめェは今死にてえらしいな。だが今日は多めに見てやる」
BWCのヴェルトロ「今日は新しい傭兵団の設立祝いですからね。で分隊の名前は?」
BWCのチュルパン「ミナゴロシ隊だ!!!!!!!!!」
BWC一同「(うわ、ダッッッッツサ。でも言ったら殺される)」
BWCのチュルパン「異議はねェようだな。それと新しいパシリを紹介する!」
BWC一同「(同情しかない)」

BWCのボルコス「よろしくな坊主」
BWCのタバサ「よろしくお願いします...」
彼の行く先に、光はあるのだろうか...
ニベン湾を漂流するゾハルとリノンの2人。
長い夜が明け、隣で眠るリノンの身体が冷え切っている事で思わず最悪の事態を想定したが、うっすらと寝息を立てている事に安堵するゾハル。
2人を乗せた小舟はマイルズ海賊団のガレオン船の停泊する入江に着いた。

彼らは帝国兵と連合を組み、奴隷港の激戦に救助に来てくれた海賊達だ。情報屋のグリ=ト・ルカ曰く、賞金をかけられたゾハルの身を保護してくれるんだとか。木を隠すには森の中という事だろう。

見知らぬ客の様子を見た、強面のレッドガードがしゃがれ声で話しかける。
義眼のファーガス「あんた達がゾハルとリノンか。まずは船長に挨拶しな。おかしなマネをしたらすぐに魚のエサになるからな」

傭兵のゾハル「おい、まずは...」
リノン嬢「わたしなら大丈夫」
気丈に振る舞うリノン。立っているのも辛いはずだが、こうなった彼女はテコでも動かない事を知っている。ゾハルは彼女の意志を尊重する事にした。ファーガスの後に続き、船内で一番派手な装飾が施された船長室へ向かう。
義眼のファーガス「船長‼︎オイ、船長ッ‼︎...ったくまたお楽しみ中か。まぁいい、少し待ってろ」

義眼の男が何度も船長室のドアを叩くが、一向に出てくる様子は無い。そうこうしている間に日が落ちる。
義眼のファーガス「ったく、まだ寝てやがるのか。まぁいい今から死体を船内に運ぶ。手伝え傭兵」
傭兵のゾハル「ああ。だがそこの女は負傷している。休ませても構わないな」

義眼のファーガス「...フン、いいだろう」
リノン嬢「...ごめんなさいおじさん」
傭兵のゾハル「今のうちに休んでおけ」
なぜ死体を海に投げ捨てないのか、疑問に思ったが、海賊ならではの風習があるのかも知れない。夥しい死体の数。奴隷港での激しい戦いの末、たくさんの船員が命を失った。改めて自分達だけの戦いでは無かったと実感する二人。

義眼のファーガス「ふむ、取り敢えずはこんな物だろう」
死体の数はゆうに20を越えるほどだった。
傭兵のゾハル「なぜ死体を海に捨てない?腐敗するぞ。鳥にでも食わせるつもりか?」
義眼のファーガス「...説明するには長くなる。今日は満月。すぐに分かるさ。口より手を動かせ」
傭兵ゾハル「へいへい」
キャンディ・ピンク「スンスン...あなた少し匂うわね」
横から2人の間に割って入ったのは、ピンクの髪色をした中年?の海賊、通称キャンディ。彼の素性は誰も知らない。

傭兵のゾハル「ずっと同じ鎧を着ているからな」
キャンディ・ピンク「んもー!デリカシーがないわね。船長に挨拶に行く前に着替えなさい!」
着慣れた鎧を脱ぎ捨て、用意された服に着替えた2人は改めて船長室へ向かう。
リノン嬢「まともな服を着たのはいつぶりかなぁ...」
遠くを見つめるリノン。彼女なりに思う事ごあるのだろう。
船長室、そこには海賊団の船長と、かつてゾハルを導き、影ながらふたりを見守ったエマの姿があった。
娼婦のエマリー「船長、例の二人が来たみたいね。私も挨拶したいわ」

マイルズ船長「...大悪党とお嬢様か。面白えコンビじゃねぇか」

コンコンッ...
義眼のファーガス「船長、例の客だ」
マイルズ船長「入れ」
堂々たる海賊船長の迫力にリノンは身をすくめた。
傭兵のゾハル「あんたがマイルズか。オレは傭兵のゾハル、こいつはリノンだ。よろしく頼む」

マイルズ船長「マイルズ〝船長〝だ。それであんたが噂の大悪党か。見事な暴れっぷりだったらしいじゃねぇか」
傭兵のゾハル「なに、貰った金の分働いただけだ」
マイルズ船長「謙虚な姿勢は好印象だぜ。それであんた達の身柄はオレ達が預かるワケだが、まずは...」
リノン嬢「...」
バタンッと真後ろに倒れるリノン。地面への衝突は避けられたが、衣類にしたたる血の量にゾハルは驚く。
傭兵のゾハル「なっ...!」
娼婦のエマリー「これはマズイわね。すぐにベッドに運びなさい‼︎」

傭兵のゾハル「治癒魔法使いか医者はいるか!?」
義眼のファーガス「ここは帝都のど真ん中じゃない。医者などいるワケないだろう」

医師ササーニア「...いるよ」
一同「...誰だこいつ?」
傭兵のゾハル「あんた...オレ達をつけてたのか?」
ゾハルは私に疑いの目で睨み付ける。タイミングがいいのは当然だろう。なぜなら私は彼らを着けているのだから。
医師ササーニア「そう警戒しないで欲しい。まずは治療が先だろう流れの医師だよ。彼女をすぐに寝室へ運ぶんだ」
すると私は倒れたリノン嬢の腹部を確認する。傷口は当然塞がっておらず、彼女の呼吸等をみると破傷風の初期症状を引き起こしている。傷口は思った以上に深く、広い。一刻も早い処置が必要だろう。

医師ササーニア「やぁリノンちゃん。この傷は縫合が必要だね。手持ちの医療品でなんとかできるけど、とても痛むよ」
リノン嬢「...おねがい、鳥せんせぇ」
医師ササーニア「...すぐにキレイな布と水とウォッカ、針と亜麻糸を準備するんだ。麻酔は無いから死ぬほど痛むよ。気をしっかり」

ウォッカを豪快にかけ、火で炙った縫合針を準備する。
医師ササーニア「ゾハルくん」
傭兵のゾハル「なんだ?邪魔なら外に出るが」
医師ササーニア「しっかり彼女の身体を抑えておくんだ。多分凄く暴れるから」
リノン嬢「おじさん、ここにいて。離さないで」

実を言うと、麻酔も持ち合わせていたのだが、私は患者が苦痛に歪む表情がたまらなく好きなのだ。
ズプッ!
躊躇なく私はきめ細かな美しい皮膚に針を突き刺す。
リノン嬢「んんんああああッッ!!!!!!!!ぐぎィィィいいィィィッッ!!!!!!!!!!!」

獣の様な悲鳴。私は思わず溢れそうになる笑みを堪えるので必死だった。尋常では無い力でゾハルの手を握りしめるリノン。
リノン嬢「お、おじさ...んぐぅぅぅッッ‼︎」
傭兵のゾハル「リノン!!大丈夫だ‼︎ここにいるッッ‼︎」
暴れる彼女を、ゾハルが甲斐甲斐しく支える。彼にもこんな一面があると意外だった。
傷口を縫い上げた後、ペースト状にした薬草を塗り込む。血と汗で濡れた衣類を脱がせると、彼女は静かに眠りに付いた。
傭兵ゾハル「すまねぇ。あんたがいなきゃどうなってたか...」
医師ササーニア「今回は貸しにしておくよ。キミも少し眠るといい。キミの方が大怪我をしたはずだが...ヒストキンの力かな?」
傭兵ゾハル「なぜそれを知っている?アンタ何者なんだ...?」
医師ササーニア「...ただの噂好きだよ」
も抜けの殻になった海賊船の財宝を狙い、侵入しようとしたエルフの2人組、シャロンとチャンタマ。華麗に捕まり、重厚な鉄の牢屋の奥に監禁されていた。
エルフのチャンタマ「先生、私達どこへ連れて行かれるのでしょうか?きっと奴隷港ですよ。掘られるんですよ私」
エルフのシャロン「そうね。でも心配しなくてもあなたは大丈夫でしょう。物好きな奴もいるかも知らないけど。それより可愛い私の方が心配だわ。モグ...ムシャムシャ」
エルフのチャンタマ「あのね先生、心配してる奴はそんなにムシャムシャ食べ物食べれないんですよ!あんたの強欲のおかげでいつもこんなんばっかりですよ!少しは反省したらどうてすか⁉︎」

エルフのシャロン「うるさいわねー。はいはい、反省してまーす」
エルフのチャンタマ「クッ...この女...!!それより脱出する方法考えましたか?やはりここは私の話術で...」
エルフのシャロン「それさっき為して失敗したじゃない。ここはシャロン様に任せなさい」
エルフのチャンタマ「イヤな予感...」
見張りの海賊「少しは静かにしろッッ‼︎痛い目にあいたいのか?」
エルフのシャロン「あら、おにーさんワイルドで素敵ね。もっと近くで見たいかも」

シャロンが牢屋越しに見張りの海賊に向けて甘えた声で話しかける。いつもなら囚人相手に近寄ったりはしないのだが、そのエルフの美貌にマトモな感覚を失う海賊。
見張りの海賊「へっ...エルフに気に入られるっても悪くねぇな。だがあんた達は盗人、警戒を怠るなとファーガスさんから言われてるんでな」
エルフのシャロン「こんな門越しでか弱い私が何かできるとでも?見た目によらず臆病なのね」

見張りの海賊「ハハッ、こいつは舐められたもんだ。奴隷港じゃあやかれなかったからな。しっかり楽しませて貰うぜッッ‼︎」
ゴキンッッッッッッ‼︎
エルフのシャロン「はい一丁上がり~!」
思わず身を乗り出した下っ端の海賊。しかし海賊の首に回した腕を見事に絡ませてヘッドロック。一瞬で海賊は気を失う。慣れた手付きで鍵を抜き取るシャロン。
エルフのチャンタマ「...先生、良心が痛みせんか?」
エルフのシャロン「失礼ね、正当防衛よ!さっさとお宝を頂いてトンズラするわよッ!」
そして別室。特別待遇で迎入れられたゾハル達を怪しむ船員達。彼らの待遇については異議を唱える海賊も少なくない。
ファーガスと共に副船長を務める女海賊のブレンダ。彼女は密かにマイルズに思いを寄せており、どんな卑劣な手を使ってものしあがる、実に海賊らしい海賊だ。
女海賊ブレンダ「フン、それで例のお嬢様は無事なのかい?」

海賊の下っ端「ええ、流れの医者が偶然乗船してたそうで」
女海賊ブレンダ「チッ、そんな虫のいい偶然あってたまるか」

海賊の下っ端「ヘヘッ、色々使い用はあると思いますがね」
海賊達は下衆びた微笑みを浮かべる。
女海賊ブレンダ「所でおまえ」
海賊の下っ端「ヘイ!」
女海賊ブレンダ「誰が風呂まで入って来るのを許可した?アタイが嫌いなものを言ってみろ」
海賊の下っ端「ヘイ、風呂と食事を邪魔される事です‼︎」

ザバッツと、浴槽から身を上げたブレンダを見て、風呂を覗いていた2人は無我夢中で逃げ出す。

女海賊ブレンダ「だったらさっと出て行けッッ‼︎ブチ殺されなくないならなッッ‼︎‼︎」

数時間後、私はリノンの傷口を確認する為、彼らの寝室を訪れた。どうやらゾハルは一睡もしていないようだ。早速彼女の頬に手を当て、体温を確認する。
医師ササーニア「うむ、熱も引いた様だ。取り敢えずは大丈夫だね」
傭兵のゾハル「あんた...ただの怪しい奴じゃなかったんだな。色々すまなかった」
深々と頭を下げるゾハル。
医師ササーニア「安心したよ」
傭兵のゾハル「...?」
医師ササーニア「まだ人間はやめてないようだ。その子に感謝するんだね」
リノン嬢「...ん...」
傭兵のゾハル「リノン...大丈夫か?」
少女は静かに瞼を開ける。グー、と響き渡る腹の音。
リノン嬢「ぅ...ふふっ、おじさん、お腹空いちゃった」
医師ササーニア「ふむ。食欲があるのはいい証拠だ。さて傷口をみせなさい」
リノン嬢「はーい。もう痛くないよ、さすが鳥せんせぇ。傷口はどう?」

医師ササーニア「うむ、この分なら大丈夫だろう。傷口も目立たなくなるはず。良かったね」
傭兵のゾハル「...ああ...成長したな」
リノン嬢「...せいちょう?」

そして、シーツの下の自分が改めて下着姿だったのに気が付いたリノン嬢。頬を真っ赤にさせてフルフルと小刻みに震えている。
傭兵のゾハル「ち...ちがう、いや、違わないか」
リノン嬢「........おじさんのえっち...」
傭兵のゾハル「...............リノンさん?」
パァアアアァァン!!!!!!!!!
医師ササーニア「さすがのキミもノックアウトか...」
マイルズ船長「よう嬢ちゃん、無事に復活した様だな。そしてゾハルはなんで顏が腫れてんだ?誰かに殴られたのか?」

傭兵のゾハル「...」
リノン嬢「ありがとうせんちょー。服まで準備してくれて」
娼婦のエマリー「私のお古だけど、問題無さそうね」
マイルズ船長「それで、早速だがお前たちには仕事を仕事をしてもらう」
傭兵のゾハル「生命のオーブ?」
マイルズ船長「ああ、オレが長年探し求めた秘宝だ。場所の検討は付いてんだが、いかんせん難航してな。腕のいい奴の力がいる」

傭兵のゾハル「それが船賃と保護代と?」
マイルズ船長「ああ。それまであんた達の身の安全は保証する」
傭兵のゾハル「失敗したら?」
マイルズ船長「聞きたいか?」
マイルズは今までの剽軽な表情とは変わり、冷徹な海賊としての笑みをみせる。
マイルズ船長「市場価格10万セプティムの財宝だ。そこらに並んだ財宝とはワケが違う。死ぬまで遊んで暮らせるぞ」

傭兵のゾハル「...なぜそのオーブが必要なんだ?」
マイルズ船長「...それは...」
バタ―――――ン‼︎‼︎
エルフのシャロン「話は聞かせて貰ったわ‼︎」

マイルズ船長「...?」
傭兵のゾハル「...?」
リノン嬢「...?」
エルフのチャンタマ「だから言ったでしょ!こんな雰囲気になるって!逃げましょう!今なら間に合います!」
突然の乱入者に顔を見合わせる一同。しかし明らかにどの人物も彼女達を知らない。
娼婦のエマリー「あ!あの時の泥棒!」
エルフのシャロン「その宝探し、参加させて貰うわ!︎」
マイルズ船長「盗人風情がなんの冗談だ?このままニベン湾に沈めてもいいんだぞ?」

義眼のファーガス「見張りはどうしたイタチ女?それにここに来るまでの海賊達は?少なくとも5人以上はいたはずだ」
エルフのシャロン「もう少し腕の立つ奴を雇うべきね。財宝の分け前は5:5でどう?」
義眼のファーガス「...マイルズ、こいつら」
マイルズ船長「腕には自信アリって事か」
エルフのチャンタマ「ほっ...」

マイルズ船長「9:2だ。立場を考えろよ女」
エルフのシャロン「6:4これ以上は飲めない。それで最高レベルの錬金術師とアークメイジが戦力になるなら安いものでしょう」
義眼のファーガス「...マイルズ!」
マイルズ船長「そこのタマネギ頭、おまえアークメイジなのか?」
エルフのチャンタマ「ええ。こうみえて、一応」
マイルズ船長「ツキが回って来たな。いいだろう。おまえらも乗船を許可してやる。ただししっかり働いて貰うぞ」
エルフのシャロン「...まぁ仕方ないわね。それであなた達はチャンタマをどうする気?」
マイルズ船長「説明するのも面倒だ、エマ、月は?」
娼婦のエマリー「上ったわ。今夜は月腐よ」

マイルズ船長「...ついて来い」
船長室を出ると通路に並ぶ海賊たちが一斉に歌を歌い踊り出す。
ホー!ヘイ! ウェイレストの可愛いあの娘!ホー!ヘイ! 俺の可愛いあの娘!
ああ また会いに行くよ 君にまた会いに行くよ!ウェイレストのとびきりかわいいあの娘!
エルフのシャロン「随分な歓迎ね。どうせなら若い男の子が良かったけど」
その歌声は船外に向かうにつれ大きく、狂った様に歌い出す海賊。そして船外に出た瞬間、ゾハル達は目を疑う。
ホー!ヘイ! ウェイレストの可愛いあの娘!ホー!ヘイ! 俺の可愛いあの娘!
ああ また会いに行くよ 君にまた会いに行くよ!ウェイレストのとびきりかわいいあの娘!
リノン嬢「キャッ!おじさん!」
月の光を浴びて肉体が泡のように消えた海賊たち。そして船上に並べた死体たちもカタカタカタと音を立てて身体を起こす。彼らはようやく気が付いた。誰一人“生きてはいなかったのだ”と。
ホー!ヘイ! ウェイレストの可愛いあの娘!ホー!ヘイ! 俺の可愛いあの娘!
ああ また会いに行くよ 君にまた会いに行くよ!ウェイレストのとびきりかわいいあの娘!
エルフのチャンタマ「ひいいいっっっ...!!」

骸骨海賊「ケタケタケタッッッツ!!!!!」
骸骨海賊「カタカタカタッッッツ!!!!」

マイルズ船長「おまえが鍵だタマネギ頭!もうこの船から降りる事は許さんぞッッ‼︎」
ゾハル達はようやく気が付いた。自分達が乗り込んだ船の危険さを。
船旅は続くーーーー
